特許庁からだされているデザイン経営についてのハンドブック。
(デザインにぴんとこないビジネスパーソンのための”デザイン経営”ハンドブック)
2020年に出されてますが、経営がなかなかうまくいかないと解決策を探っている方、さらっと読んでみてはいかがでしょうか?
経営の話なのですが、根本的なところなのでNPOや一般社団など株式以外の法人や公共団体として読み替えても十分通じるかと思います。
再読の人にももう少しわかりやすくまとめてみました。
インターネットの登場以来、社会が流動して実態がつかめず、予測を立てるのが難しい時世、市場価値の最大化をミッションやゴールに据えて市場しか見ずに、マーケティング上の数字を追ってるとプロダクトも戦略も生み出せないよ。と言ってます。
企業は定量化できない価値観や時代感を取り扱ってアイデアや戦略を立てる必要があるよね。というところでデザイン経営(デザインからのアプローチ)が必要だと話しています。
昨今のIT化やDXなども外部から取り込んで設置すればOKではなく、上位レイヤーではしっかりデザイン経営としての理解や浸透がされてないとうまく活用できない・不満が高まるという結果がおきます。
デザインは見た目のビジュアルのことと思われがちですが、そもそも設計でもあるので企業のビジョンや理念、ブランディング~組織体制なども整理していく眼差しを持ってます。そういうアプローチがポイントです。
『デザインという仕事の本来的な任務を「自社と自社を取り囲む社会とのインターフェイスを設計すること」と言い直すのであれば、デザインを扱う部門や人が、これからの企業にとって不可欠なものであることは、およそ自明のこととして理解されるのではないだろうか。』
ざっくり要約すると、現在、従来の大量生産・大量消費のビジネスモデルはますます通用しなくなっている環境で、新たな市場を開拓し、顧客の心を掴むのは困難。そういった中で「解決すべき課題を探す」ことから始める。そしてその課題に解決には共感をもってリサーチ、実験を繰り返し、できたプロダクトやサービスは企業の理念やビジョンに沿って語り直すことが大切。ということを語っています。
この課題を探り、リサーチをし実験を繰り返すアプローチにデザイン思考を提唱しています。
流動的に変化し続ける世界に、わかった気にならず、ずっと考え学び続けることで人も組織も対応できる力がつきます。
ちなみにIDEOはアメリカの超有名デザインコンサルタント会社。
デザイン経営に取り組む企業へのアンケート。
中小企業ではトップに近いところにデザイナーを配置している傾向があり、大企業では強い危機感をもって取り組んでいるようです。
「ビジネスの構想段階からどのように課題解決を行うかデザインする」が80%
デザイン推進部門の業務が「ブランディング」「製品・サービスのデザイン」に偏りがあるとのこと。
企業アイデンティティなどの社内への浸透や文化醸成やマインドセットのためのデザインというのが少なそうです。NPOや福祉法人などはここのデザイン経営が重要そうだと感じます。
企業それぞれの課題があるでしょうし、ほんとに定義も効果も様々です。
デザインは「マインドセット」と答えるところもあれば、「課題発見」と答えるところもある。
それだけ幅広く対応するアプローチだとも言えますね。
課題や問題が認識されていて今までのようなやり方では通用しないことが理解されている段階で、デザイン経営手法を導入してほしい、けれどデザイン経営についての検討段階にでくわす問題。
ボトムアップは経営陣のひとりを口説くことからかもしれない。
それぞれにそれぞれの課題対応があります。対応の仕方もあるので一読を!
・経営陣の理解
・効果の定量化
・組織体制・評価指標
・ビジネスとの両立
・全体的な意識統一
・用語・理解の統一
・人材・人事
・既存プロセスの組み込み
読んでるだけで萎えそうですが(笑)、その答え方に力をもらえます。
経営層はこれを読んで自問自答してください。デザインは単に見た目の話ではないことの理解がまずは必要。
すごくわかります。少し前までKPI全開でしたけど、デザイナー周りでは違和感がある場面もしばしばありました。「ビジネスは科学的に答えがある」と思わせるのは広告の手法で、実際にはそんなにうまくはいきません。数字に振り回されずにリサーチと実験を繰り返す、そこから見えることがある。
KPIを設定すると結局はこれまでと同じ視点の思考パターンでしか道筋がたてられないということです。
パンデミックの後、未来を見据えた企業活動は一度マインドセットをして進むことが大事ですね。
中小企業や地方企業のほうがリソースが豊富だと感じることが多々あります。
また、今までの土着の文化を見直したり、民俗学に興味を持つデザイナーは徐々に増えていると思います。
意思決定が早くでき小回りが利く中小・地方企業はデザイン経営との親和性が高いと思いますよ。
なかなか浸透してそうでしていないデザイン経営ですが、本質は見た目のデザインではなく、それぞれの課題の探し方だったり、課題解決に向かう手法でその道筋は多様だということは、ご理解いただいたでしょうか。
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